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先日は旧八朔でした。

八朔といえば、足利尊氏に関してちょっとしたエピソードがあるのでご紹介します。
旧暦の八月一日には八朔といって、日ごろお世話になっている人へ贈り物をする習慣がありました。人に好かれる足利尊氏ですから、彼のもとには山のような贈り物が届きました。しかし、尊氏はもともと物欲のない性格だったため、貰った贈り物のほとんどを人にあげてしまい、山のようにあった贈り物は尊氏の手元には残らなかったといわれています。
また、足利兄弟の性格の違いがよく表れているのがこの八朔のエピソードで、厳格な性格の弟の直義は八朔の習慣自体を無駄な物だと考えており、贈り物を一切受け取らなかったと言われています。贈り物から政治的な悪い結びつきができると考えたのでしょうか。これもまた普段から禁欲的な直義らしい処世術だと思います。

『梅松論』や『難太平記』には、尊氏・直義ともに私欲のない有難い人物だと描かれています。真逆の性格に見える二人ですが、似ていないようで似ている部分があるのがかわいいですね。


***


『梅松論』
或時夢窓国師談義の次に、両将の御徳を條條褒美申されけるに、先将軍の御事を仰られけるは国王大臣人の首領と生るゝは過去の善根の力なる間、一世の事にあらず。ことに将軍は君を扶佐し、国の乱を治る職なれば、おぼろげの事にあらず。異朝のことは伝聞計也。我朝の田村、利仁、頼光、保昌、異賊を退治すといへども、威勢国に及ばず。治承より以下、右幕下頼朝卿兼征夷大将軍の職、武家の政務を自専にして賞罰私なしといへ共、罰のからき故に仁の闕る所々見ゆ。今の征夷大将軍尊氏は仁徳を兼ね給へるうえに尚大いなる徳有なり。
第一に御心強にして合戦の間身命を捨給ふべきに臨む御事度々に及といへども、咲を含て怖畏の色無し。
第二に慈悲天性にして人を悪み給ふ事をしり給はず。多く怨敵を寛宥有事一子のごとし。
第三に御心廣大にして物惜の気なし。金銀土石をも平均に思食て、武具御馬以下の物を人々に下給ひしに、財と人とを御覽じ合る事なく御手に任て取給ひし也。八月朔日などに諸人の進物共数も知らず有りしかども、皆人に下し給ひし程に、夕に何有とも覚えずとぞ承りし。實三の御躰、末代にありがたき将軍也と国師談義の度毎にぞ仰有ける。


『難太平記』
其故は大御所、錦小路殿(割:大休寺殿)の御中違の時も一天下の人の思ひし事は、当家の御中世をめされん事まで、あながちに御兄弟の間をばいづれと不可申とて、両御所に思ひ思ひに付申き。其時も諸人の在様は大休寺殿は政道に私わたらせ給はねば捨がたし。大御所は弓矢の将軍にて更に私曲わたらせ給はず。是また捨申がたしと也。


※錦小路殿=大休寺殿=直義
※大御所=尊氏

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