『続後拾遺和歌集・雑中・一〇八四』
題知らず
かきすつるもくずなりとも此度はかへらでとまれ和歌の浦波
「無造作に書き流す藻屑のような和歌であったとしても今回は返る(=却下される)ことなく勅撰集に留まってほしい、私の和歌であることだ」
『新千載和歌集・雑中・一九八九』
同じ心に
わがこころなぐさむほどのことのはも猶よりかぬるわかのうら波
「同じ述懐(≠官位の不当を嘆く歌)の題で。私の心を慰めてくれるのは、和歌の道だけであるよ」
どちらも題詠歌ではあるものの、尊氏の心の底が見えてきそうで好きな和歌です。
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